夕食後にコーヒーを飲んでしまい、なかなか寝られない…といった経験がある方も多いかもしれません。ここでは、良質な睡眠を得るためのカフェインとのうまい付き合い方を紹介します。
カフェインと睡眠
カフェインのせいで眠くても眠くないと感じてしまう
カフェインに覚醒作用があることはご存知の方も多いと思いますが、どういったメカニズムで覚醒作用が起きるのでしょうか。それは、睡眠物質として紹介したアデノシンの受容体がアデノシンを受容することをカフェインが妨害するために発生します。簡単に言うと、神経が脳に対して「身体が疲れてきているので寝た方が良い」と伝える信号をカフェインがブロックしてしまい、脳がその信号を受け取れないために、本当は休んだ方がよくても眠くないと感じてしまうのです。
夜中起きてしまう原因にもなる
カフェインは中枢神経に作用するため、利尿作用もあります。この利尿作用により、場合によっては、夜中にトイレのために起きてしまう原因にもなってしまいます。こういった面でも、カフェインは睡眠へ悪影響を及ぼすのです。
起きていたいときには活用するが、注意も
上述のような効果は寝ようと思ったときは、不都合な作用ですが、起きていたいときはその覚醒作用により、寝落ちすることがなくなる可能性が高まります。現代社会、徹夜で仕事を終わらせねば!という日もあるかと思いますが、そういったときにカフェインを活用する方も多いのではないでしょうか。また、一部の研究結果によれば、集中力の強化や運動能力の向上の効果もあるといわれています。ただし、上述のとおり、カフェインの効果は、疲れなくなるのではなく、疲れていることを認識しなくなるだけなので、疲れ自体は溜まっていきます。そのため、徹夜は最小限にとどめ、翌日はきちんと睡眠をとり、ゆっくり休むようにしてください。
カフェインとのうまい付き合い方
一日の最大摂取量
2015年の欧州食品安全機関(EPSA)の見解によれば、カフェインの1日の最大摂取量は、成人は1度の摂取で約200mg、1日あたり約400mgまでは安全だそうです。ドリップコーヒー(カップ一杯100mlとする)でいえば、一日6杯程度です。ただ、これは体重によって左右しますし、体質によっても変わるので、体重が軽い方やカフェインが苦手な方はもっと少ない量と思ってください。なお、コーヒーだけではなく、紅茶や緑茶、ウーロン茶、コーラにもカフェインは含まれています。
何時以降避けるべき?
カフェインの血中濃度が半分くらいになるのは、摂取してから、約4~5時間程度と言われています。ただ、半分以下になったら完全にカフェインの効果が止まるというものでもなく、一部の海外の研究によれば、寝る6時間前にカフェインを飲んでいた場合でも睡眠時間が短くなる、という結果があります。そのため、寝る7~8時間程度前、23時に寝る人は15~16時以降は飲まないようにした方がベターです。とはいえ、訪問先で出された場合など、難しい場合もあるかもしれません。その時は、十分な水分をとるなどして、体外への排出を早めましょう。また、コーヒーや紅茶の味を求める方は、カフェインレスのものを飲むようにしましょう。
カフェインと仮眠
カフェインの効果が出始めるのは摂取後30分程度と言われています。これを活用して、ちょっとした仮眠の前にあらかじめコーヒーや紅茶を飲んでカフェインを摂取しておくと、寝過ごす可能性が低くなります。
最後に
カフェインとの付き合い方、簡単なようで難しいかもしれません。かくいう筆者も、コーヒー・紅茶が大好きで、わかっちゃいるけどやめられない状態でした。ただ、ある時、完全にやめる必要はないですし、不眠で悩むよりはマシ、ということに気づき、夕方以降のカフェイン摂取を辞められるようになりました。明日いきなり、は難しいかもしれませんが、良質な睡眠のために、夕食後は飲まない、連日では飲まない、といったことを試しながら、カフェインのないくらしに身体を慣らしていってはいかがでしょうか。