しっかり運動した日はぐっすり寝られるもの。とはいえ、社会人はなかなか運動の時間をとれないかもしれません。快眠に向けた運動の注意点、お教えします。
運動すべき理由
覚醒時に活動的だった部位ほどよく休む
人間の脳はどんなに睡眠が深くなっても、すべての部位が休息モードに入ることはありません。すなわち、脳の各部位が順番に休息モードに入っていくのですが、これを「ローカル・スリープ(局所睡眠)」と呼ぶことは、レム睡眠・ノンレム睡眠についての記事でご説明したとおりです。そして、このローカル・スリープは、日中活動的であった部位ほど深くなっています。つまり、日中活動的であればあるほど睡眠が深くなるのです。
運動は身体だけでなく脳も活動的にさせている
1-1のお話はあくまで脳が活動的か否かの話で、身体が活動的か、すなわち運動したかはあまり関係ないように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。運動中に使われている筋肉や腱から脳へ、脳から筋肉や腱へ、絶えず電気信号が行きかっており、脳もフル活動中です。したがって、身体を動かせば、脳も活動し、疲れていくので、睡眠が深くなるのです。
動けばアデノシンも溜まる
「睡眠物質?眠気を催す神経伝達物質アデノシンとは?」でも述べたとおり、睡眠物質アデノシンは人間がエネルギーを使った結果に発生する神経伝達物質です。アデノシンが一定量以上溜まっていることが快眠につながるので、きちんと動けば快眠につながるということになります。
運動するのに適した時間帯
午前中がベター
運動をするのによい時間帯は午前中です。これは、時間帯別の運動の睡眠に対する効果に関するいくつかの研究で明らかになっています。なお、午前中に運動する際の注意点としては、汗だくになるレベルの激しい運動は避けるべきということです。これは、運動で体温があがったあと、汗が蒸発して体温が下がると、入浴後のような体温の動きになってしまい、眠気が誘発され、運動後に寝てしまいます。これでは、本末転倒になってしまいます。なので、ウォーキングやジョギング、軽い自重トレーニングなどにしておきましょう。
遅い時間帯の重めの運動は逆効果の危険性
午前中の運動がベターと述べましたが、午後の運動は効果がないかというと、午前中に比べて下がるだけで、なくなるわけではありません。そもそも、平日の午前中に運動できる社会人はほとんどいないかもしれません。そういった方は午後にやる形で構いません。19~20時くらいであっても、十分に効果を得ることができます。会社帰りにジムに行くのもよいですし、エレベーターを使わずに階段で4階くらいまで昇ったり、一駅分歩いて帰ったりするのでもOKです。ただし、寝る直前等、あまりに遅い時間帯に重めの運動をしてしまうと、逆効果になる危険性があります。というのも、重い運動は交感神経を優位にしてしまい、リラックスより興奮作用が高まってしまうので、身体が休息モードではなくなってしまうためです。
とにかく長期継続するよう無理のない形で
運動は一日二日やっただけではあまり意味がなく、長期的にやり続けることが必要です。無理に午前中やろうとして、昼間の仕事に支障をきたして諦めたりするくらいであれば、午後に無理なく、継続可能な軽い運動を続けた方が、長期的効果は大きいです。
また、1回の運動の内容も、上述のとおり一駅分のウォーキングや階段の昇降レベルでも、毎日やれば少しずつ効果が出てきます。無理なく長期的に続けられる内容で、マイペースで運動するようにしましょう。例えば、平日早く帰れた日に一駅分歩き、休日午前中用事のない日にジムにいって筋トレをする、といった感じでも十分です。
最後に
以上、快眠に向けた運動に関する注意点をお教えしました。何よりも長期的に継続して運動することが重要ですので、無理なく続けられるようにしましょう。