メラトニンは「睡眠ホルモン」と言われています。今回は、メラトニンとは何か、睡眠とどのような関係があるのか解明していきます。
睡眠ホルモン、メラトニンとは?
メラトニンは人を眠らせるためのホルモン
メラトニンとは、「睡眠ホルモン」と呼ばれるほど、人間の睡眠に密接なかかわりのあるホルモンです。脳の松果体という部分でセロトニンという物質から生成されます。メラトニンの分泌量が増加すると、脈拍、体温、血圧などが低下し、身体がいわば「休息モード」に入っていきます。
メラトニンの分泌量は光に依存する
次に1日における分泌状況を見ていきましょう。メラトニンは、光と密接に連関しています。目の中の網膜が光を感知すると、松果体はメラトニンの生成を抑制させてしまいます。もともと電気のない時代の人間は、昼間には明るい空間で狩猟や採集などの活動をし、夜間は活動はせず休息していましたが、その名残のように、明るいところでは自然とメラトニンの分泌が減少し、活動の邪魔をしないようになっている一方、暗いところでは、自然とメラトニンの分泌が増加するようになっているのです。そうすることで、一定の時間帯になると自然と眠気を感じるようになり、日々の活動―睡眠リズムが調整されるようになっています。
メラトニンはどう生成する?
サプリメントからの摂取は日本では難しい
何か栄養素を摂取するとき、サプリメントを飲むというのは、お手軽ですよね。米国などでは、メラトニンのサプリメントは、ドラッグストアの店頭で、処方箋なしで購入できます。しかし、現在、日本では、メラトニンを製造、販売することは、法律で禁止されています。そのため、いわゆる並行輸入か、海外旅行の際に購入してくるしか方法はありません。さらに、個人の輸入量は1度に2か月分までと、法律上規制されています。したがって、日本においてサプリメントからメラトニンを摂取するというのは非現実的かもしれません。
朝食で摂ったトリプトファンから生成しよう
上述のとおり、メラトニンはセロトニンという物質から生成されますが、このセロトニンはトリプトファンというアミノ酸から生成されます。このトリプトファンは肉や魚などのタンパク質を多く含む食品に多く含まれています(詳しい食材や含有量は、トリプトファンを多く含む食材や一緒に摂るべき栄養素とは?参照)。また、これらの食品を摂取してからすぐにメラトニンが生成されるわけではなく、およそ15~16時間後に生成されるので、寝る15~16時間前、すなわち、朝食で摂取する方がベターです。
夜間のメラトニンの分泌を妨げないために
メラトニンはブルーライトによって分泌量が減ってしまう
上述のとおり、メラトニンは網膜が光を感知すると分泌量が減少しますが、メラトニンの分泌を抑制する光の波長は、一部の研究結果によれば、約460~480nmと言われています。これは、色でいうと、青色の光であり、いわゆる「ブルーライト」のことです。
夜間はブルーライトを避けよう
読者の方々の中にも、寝る前にスマートフォンやPCで、動画をみたり、ネットサーフィンをしてしまったりしたために、寝つきが悪くなったという経験がある方も少なくないと思います。それは、PCやスマートフォン等から発せられたブルーライトを網膜感知し、メラトニンの分泌を減らしてしまったために、眠気が解消されてしまったためです。そのため、寝る前はブルーライトを浴びないよう、PCやスマートフォン等の電子機器は使わないようにしましょう。どうしても使ってしまう、という方は、ブルーライトをカットする眼鏡をかけながら利用したり、画面から発せられるブルーライトの量を減らすアプリを利用するなどした方がよいです。
最後に
これまで述べたとおり、睡眠ホルモンであるメラトニンは体内時計のリズム調整を通じて、睡眠に密接に関連します。ポイントとしては、①朝は光を浴びるようにし、夜は浴びないようにする、②朝食でトリプトファンを摂取しておく、という2点です。