近年、なかなか寝られない方向けの不眠改善・快眠サプリメントが各種発売されていますが、それらの多くに含まれている有効成分グリシン。本記事では、グリシンとは何か、どのような作用があるのか、説明していきます。
グリシンとは
非必須アミノ酸の一種
グリシンはタンパク質を構成するアミノ酸の一種で、別名グリココルともいわれます。人間の体内で合成できることから、いわゆる非必須アミノ酸の一種とされています(体内では合成できないものを必須アミノ酸という)。水溶性であり、甘味があるのが特徴です。
多くの動物性たんぱく質に含まれる
食品では、動物性たんぱく質を含む食材に含有されており、例えば、牛肉・豚肉・鶏肉などの肉類やエビ・カニといった甲殻類、ホタテなどの貝類に含まれていますが、そこまで多くは入っていません。
グリシンの作用
抑制性の神経伝達物質の一つ
グリシンはGABAに次いで重要な働きをする抑制性の神経伝達物質です。抑制性というのは興奮性とは逆で、細胞の興奮を抑制する際に伝達される性質のことです。専門的な内容になってしまうので詳細の記述は避けますが、要は、身体を休めるための神経の動きに関する伝達物質の一つといえるでしょう。
その他の身体への作用
グリシンは他の物質と結合し、コラーゲンやポルフィリン、グルタチオンやクレアチンなど、様々な物質へと転換されます。コラーゲンは皮膚や軟骨、靱帯、腱などの構成要素となっています。ポルフィリンは他の物質とさらに化合して、ヘムとなりそれがさらに血液の成分のヘモグロビンとなります。グルタチオンは抗酸化作用があり、細胞を酸化から守る働きをしています。クレアチンは筋肉等のエネルギー源になります。このように身体の様々な部位において重要な働きをしています。
滅菌効果もある
人体への作用のほかにも、菌を抑える静菌作用を持っており、食品の日持ちをよくするために使用されることもあります。特に、他の保存料や静菌剤とは異なり、pHの影響を受けないため、中性やアルカリ性の食品にも使用することができ、また、グリシン自体は甘味のあるアミノ酸なので、スイーツ類をはじめとした幅広い食品に使われています。
グリシンと睡眠
末梢血流をよくして熱発散を促す効果
上述のように、様々な作用のあるグリシンですが、睡眠にも効果があります。それは深部体温の調節に関わることによる快眠効果です。深部体温と快眠の関係については、「快眠のカギは体温だった⁉深部体温と睡眠の関係性」にも書いたとおりですが、深部体温が下がっていくと、身体のメカニズム的に深く眠れるになっていきます。人間の身体は、深部体温を下げようとする場合、手足の先など末梢部分の血流をよくすることで、熱を発散させようとします。グリシンはこの末梢血流を促すことで、より熱の発散を促し、睡眠の質を向上させる働きがあると考えられています。特に眠りを深くしたい方に有効であるといえるでしょう。
グリシンが含まれるサプリメント
というように、グリシンは快眠に資するアミノ酸なので、いくつかのサプリメントにも利用されています。例えば、味の素の「グリナ」などです。気になる方は買ってみてはいかがでしょうか。
最後に
以上、グリシンの作用や睡眠への影響について書いてまいりました。睡眠以外でも有能なアミノ酸ですから、意識的に摂ってみてはいかがでしょうか。