最近よく聞く「睡眠負債」とは?

睡眠負債

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最近しばしば「睡眠負債」という言葉を耳にする方も多いのではないでしょうか。2017年には、この言葉が、ユーキャン新語・流行語大賞のベスト10まで入りました。この記事では、その睡眠負債とは何か、溜まるとどうなるのか、どう返すのか、説明していきます。

睡眠負債とは

なぜ「負債」という表現?

睡眠負債というのは、字義通り、睡眠不足による心身のコンディション不良が負債のように溜まっていくことです。負債ですから、返済しない限り溜まっていきますし、いつしか返済限度を超えてしまうと破産=心身に重大な疾病が生じる可能性があります。

負債の正体は?

睡眠負債として溜まっているものは何なのか、これはまだ明確に解明はされていません。一つには睡眠物質であるアデノシンが関係しているようですが、マウスを用いた実験などでは、アデノシンだけが影響しているわけでもないという結果が出ているようです。

睡眠負債が溜まるとどうなる?

集中力が下がる

睡眠負債が溜まっていけば溜まっていくほど、日々の集中力が低下していきます。皆さま自身も経験があると思いますが、寝不足が続くと頭がボーっとしてしまいます。アメリカでの実験によれば、睡眠不足のグループと十分な睡眠をとっているグループに同様の業務をさせた場合、睡眠不足のグループが十分な睡眠のグループに比べ、完了までの時間が14%長くなり、ミスも20%多くなったという結果が出ています。

事故リスクが上がる

睡眠負債が溜まると、脳が防御反応として、数秒~10秒程度眠ることがあります。この瞬間的な睡眠のことを、「マイクロスリープ」と呼びます。時速60kmで走っている場合、3秒間マイクロスリープ状態になっただけで、単純計算でも50m進みます。もっと速い速度で、もっと長く寝てしまったら、より長い距離暴走します。実際に、運転手の慢性的な寝不足が原因の夜間を走る高速バスや鉄道の事故が何件か起きていますが、運転手は事故の直前、このマイクロスリープ状態だった可能性を指摘されています。

肥満の原因になる

睡眠負債が溜まると、当然身体に悪影響を及ぼします。これは、睡眠不足が食欲を司るホルモンのバランスを崩すためです。詳しく説明すると、食欲を増進させるホルモンであるグレリンの分泌が上昇、食欲を抑制するホルモンであるレプチンの分泌が低下することによって、食欲が平常時以上に増進してしまうので、食べ過ぎることが多くなってしまうのです。食べ過ぎにより摂取する糖質・脂質等が増え、体重・体脂肪率が増加し、肥満になってしまうのです。

生活習慣病の発症リスクがあがる

肥満や肥満由来のものだけでなく、生活習慣病全般のリスクも上がります。例えば、血糖値を下げる役割を担うインスリンの分泌が減り、血糖値が高くなり、糖尿病のリスクがあがります。また、交感神経系が優位な緊張状態が続くことで血圧が高まります。このように、睡眠負債が溜まれば溜まるほど、様々な生活習慣病のリスクが高まっていきます。

認知症の発症リスクもあがる

脳は普段脳脊髄液という保護液につかっているが、睡眠には、古くなった脳脊髄液を交換するという役割もあります。つまり、睡眠が脳の老廃物を掃除してくれるのです。しかし、睡眠負債が溜まり、この交換が滞るとアルツハイマーの発症リスクがあがります

 

どうやって返済する?

週末の寝だめでは不十分

溜まると様々なリスクを高めてしまう睡眠負債ですが、どのように返済するのでしょうか。平日寝る時間を削って頑張って、週末に寝だめすれば大丈夫、と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

これに関し、アメリカで面白い実験があります。この実験では、日々の平均睡眠時間が7.5時間の健康な10人の被験者を、毎日無理やり14時間ベッド内で過ごさせ、好きなだけ寝させました。1日目や2日目は13時間近く寝る人が大半でしたが、みな徐々に睡眠時間が短くなり、3週間後には一定の睡眠時間に落ち着いていきました。この一定の睡眠時間の平均は8.2時間程度で、この時間が被験者10人の生理的に必要な睡眠時間となります。この実験において重要なことは、生理的に必要な時間が8.2時間なのに対し、普段の睡眠時間が7.5時間であり、毎日40分前後の寝不足状態にあったことが明らかになったとともに、この毎日40分の寝不足により溜まった睡眠負債の返済に3週間続けて10時間以上ベッドにいなければならないことがわかったことです。

このように、睡眠負債の返済には思っている以上に時間がかかるのです。週末の寝だめだけでは不十分なのです。

少しずつ返済しよう

普通の借金も一気に返済するのが難しいように、睡眠負債も一気に返済するのは難しいので、コツコツ返していくしかありません。毎日少しずつ寝る時間を増やしていくことが重要です。体内時計を整えて、長期的に睡眠時間を確保できるようにしていきましょう。

 

最後に

睡眠負債の恐ろしさを説明していきましたが、会社員の方々は一気に返済していくのは難しく、コツコツと返していくしかありません。そして、コツコツ返していくためには、体内時計を整えていくことが不可欠です。本サイト上では、寝るための様々な方法を紹介していますので、実践してみてはいかがでしょうか。