毎日数時間の睡眠でもピンピンしているショートスリーパーに憧れる人は少なくないですが、そもそも誰しもがなれるものではありません。本記事では、ショートスリーパーになろうとすることが無駄どころか、害しかないということをご説明します。
ショートスリーパーを目指す意味はない
全ては遺伝子次第?
人によって、長く寝なければボーっとしてしまって脳がちゃんと働かない人もいれば、短くてもテキパキ動ける人もいます。前者はロングスリーパー、後者はショートスリーパーと呼ばれますが、自分がどちらになるのか、あるいはどちらにもならないのか、というのはどう決まるのでしょうか。それは、遺伝で決まっています。つまり、ショートスリーパーの人は生まれつきショートスリーパーなのであり、その遺伝子を持っていない人はどのような努力をしようと、後天的になることはありえないのです。
遺伝子を持つ人はほとんどいない
このように遺伝による作用なので、「私は毎日数時間だけ寝られれば問題ない」という方は、ご自身の親族の睡眠状況を分析してみてください。「少なくとも父方か母方のいずれかの親族ほぼ全員がショートスリーパーで、みんな毎日数時間の睡眠でもピンピンしている」という場合を除き、自身がショートスリーパーであるという認識は、ほぼ確実に勘違いでしょう。ちなみに、ショートスリーパーとなる遺伝子を持つ人は、全人口の1%ほどしかいないと言われています。つまり、ショートスリーパーの遺伝子を持った一族などそうそう存在しないのです。
ショートスリーパーになろうとするのは無駄な努力
上述のように、ショートスリーパーになれる人は、その遺伝子を持った数少ない人しかいないので、ショートスリーパーになろうと努力した人の大半は無駄な努力だったことがわかります。むしろ、無駄というよりも、いたずらに自分の身体をいじめるという、有害な努力です。それでは、どのような害があるのか以下見てまいりましょう。
最低何時間寝るべき?
7時間前後は寝るべき
睡眠時間別の認識能力の低下度合などを図る実験では、6時間睡眠の人々から認識能力の大幅な低下が見受けられます。また疾病リスクも5,6時間から上昇するという結果もあり、最低でも概ね7時間前後を目安に睡眠時間を確保するとよいでしょう。
短時間睡眠は睡眠負債を蓄積させる
恒常的に短時間睡眠であるということは、睡眠負債をどんどん蓄積させているということになります。そして、睡眠負債に関する記事でも述べましたが、睡眠負債が溜まっていくと、集中力が低下したり、一瞬寝落ちしてしまう「マイクロスリープ」が発生し、感覚が停止し、情報処理ができない状態が発生してしまいます。もし、自動車を運転していたら大事故につながりかねません。また、脳の機能低下だけでなく、生活習慣病や認知症の発症リスクが上がります。ちなみに、遺伝的ショートスリーパーであっても、この健康への悪影響がある可能性は否定されていません。すなわち、毎日短時間睡眠でも頭はきちんと働いているという人でも、寿命を縮めている可能性があるということです。
最後に
以上のように、ショートスリーパーはなろうと思ってなれるものではなく、これを目指すことは身体にとって害でしかありません。インターネット上では、「短時間睡眠のススメ」というものや「ショートスリーパーになろう!」といった情報が見受けられますが、絶対に真似をしないようにしてください。仮にその情報の提供者が実際に効果を示していたとしても、それが読者の方々にも通用する可能性はほぼゼロに近いです。無駄な努力で身を滅ぼさないよう、情報をきちんと取捨選択し、毎日ぐっすり寝るようにしましょう。