ダイエットといえば、食事制限や運動することをイメージされる方が多いと思いますが、睡眠不足はダイエットの邪魔をします。効率的かつ効果的なダイエットをしようとした際に睡眠不足が与える悪影響について、ご説明します。
睡眠不足が与える悪影響①カロリー摂取量が増えやすくなる
ホルモン分泌のバランスにより食欲増進
睡眠不足が溜まれば溜まるほど、平常時とホルモンの分泌量が変わり、食欲が増進されやすくなります。すなわち、食欲を増進させるホルモンであるグレリンの分泌量が上昇、食欲を抑制するホルモンであるレプチンの分泌量が低下することによって、食欲が平常時以上に増進してしまうのです。しかも、睡眠時間が5時間を切ったくらいから、グレリンの増加とレプチンの減少が始まってしまいます。
糖分の多い食事を好みやすくなる
睡眠不足は単に食事量を増やすだけでなく、食事の内容にも影響を与えます。ある実験によれば、数時間分の睡眠時間が減少した人は十分な睡眠をとった人に比べ、糖分の多いものの消費量が30~40%増になります(肉・魚などは10~15%増にとどまる)。これは、睡眠不足により、脳内の理性的な判断を司る部分の動きが鈍り、健康のためにバランスをとるべき、と考えるよりも欲望に忠実になるためだと考えられます。
睡眠不足が与える悪影響②カロリー消費量が減りやすくなる
運動する時間がない
摂取カロリーが増えても消費カロリーをそれより増やせばいいのですが、睡眠不足は運動量を減らしがちになります。まず、運動の時間を確保するのが難しくなります。運動する時間を寝る時間にあてたいというのもありますが、仕事の時間が長引いてしまう、というのもあります。つまり、睡眠不足に陥ると集中力が下がり、仕事の効率が下がったり、ミスをしたりするようになってしまい、結果仕事の時間が長引いてしまうのです。
運動意欲も湧きづらくなる
睡眠不足は運動へのモチベーションを低下させます。これは、肉体的・精神的疲労が睡眠不足により十分に回復されないことによります。一部研究の結果からも、この傾向が示されているようです。読者の方々の中にも、よく寝られなかった次の日に運動しようという気が起きなかった経験があるかもしれません。
起きている時間が長くてもカロリー消費は増えない
睡眠不足が運動不足につながり、カロリー消費量が減るという話をしてまいりましたが、そもそも睡眠時間が減る=起きている時間が増えるなので、良く寝ている人よりも活動時間が多いために、それだけでカロリー消費量が増えるのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、一部研究でこのことが否定されています。寝ている間もカロリーを消費しますし、起きていても運動しなければ、結局カロリーの消費量が増大することはないためです。
睡眠不足が与える悪影響③脂肪ではなく筋肉が減る
せっかく体重が減っても、減るのは筋肉
2週間肥満の男女を対象に厳格なカロリー制限によるダイエットをした実験では、被験者を2グループにわけ、片方を8時間半睡眠、もう一方を5時間半睡眠としたところ、両グループとも体重は減ったものの、8時間半睡眠のグループは主に脂肪燃焼による体重減だったのに対し、5時間半睡眠のグループは主に筋肉が減ったことにより体重減だったということがわかりました。このように睡眠不足だと、仮に体重を減らしても、それは脂肪ではなく、筋肉だということになってしまいます。
筋肉が減れば代謝量も減ってしまう
運動だけでなく、基礎代謝(生命維持のために必要な活動によるエネルギー消費)により、人間はカロリーを消費しますが、仮に筋肉が減ってしまうと、基礎代謝量が減ってしまいます。基礎代謝の16%は全身の筋肉が消費しているといわれていますから、筋肉量が落ちれば基礎代謝量も減るというわけです。
最後に
以上のように、睡眠不足はダイエットの邪魔をします。太っていると睡眠時無呼吸症候群の原因になったりと、悪循環にもつながりますので、まずは睡眠時間をきちんと確保したうえで、ダイエットに取り組むようにしましょう。